玉響(たまゆら)の由来
語源は万葉集にあると伝えられ、「巻一一・二三九一」の「玉響昨夕見物」の古訓「たまゆらにきのふのゆふべみしものを」と考えられている。
原文 玉響昨夕見物今朝可恋物
訓読 たまゆらに 昨日の夕 見しものを 今日の朝に 恋ふべきものか
勾玉(まがたま)が首元で揺れるとき、玉「たま」同士が僅かに触れ合い美しい音色を奏でる様子「ゆら」の音が合わさって「たまゆら」となったと言われている。
意味:ほんの少しの間、一瞬、かすか
恋の芽生えと切なさがこの二文字に凝縮されているような、胸の奥に響く古語に思える。
下記出典によれば、玉が魂の意味となり、魂同士が出会う「たまあへば」と読まれている。
玉あへば昨日の夕見しものを今日の朝に恋ふべきものか
番号 巻11-2391
漢字本文 玉響昨夕見物今朝可恋物
読み下し文 玉あへば昨日の夕見しものを今日の朝に恋ふべきものか
訓み たまあへばきのふのゆふへみしものをけふのあしたにこふべきものか
現代語訳 魂合いをして昨日の夜は逢えたものを、もう今日の朝はこんなに恋に苦しむべきものなのか。
歌人 柿本朝臣人麻呂之歌集 / かきのもとのあそみひとまろのかしふ
歌体 短歌
時代区分 第2期
部立 正述心緒
季節 なし
補足 柿本人麻呂/かきのもとのひとまろ/柿本人麻呂【柿本朝臣人麻呂之歌集】
詠み込まれた地名 不明 / 不明
出典 奈良県立万葉文化館