榊/賢木(さかき)【美しい日本語】

榊/賢木(さかき)の由来

神事に用いられる常緑樹の総称。

つやがあり流れるような美しい葉の形が特徴。
先が僅かに細くなり反っている。
夏になると小さな白い花が咲き、実は次第に黒くなっていく。

由来:栄える木の意で栄木(さかき)と呼ばれた説、神様と人間の境にある木の意で境木(さかいき)が転じたという説、神聖な木を意で賢木(さかき)と呼ぶ説などがある。

古事記について

古事記の天岩屋戸(あまのいわやと)隠れの神話で、八百万の神々が「真榊(まさかき)」を用いて天照大御神の出現を祈願したという記述がある。

 

天屋岩戸隠れの神話

すると高天原はすっかり暗くなり、葦原中国あしはらのなかつくにもすべて闇になった。こうしてずっと夜が続いた。そして大勢の神々の騒ぐ声は夏の蠅のように充満し、あらゆる災いがことごとく起こった。そこで八百万の神々が、天の安の河の河原に集まり、高御産巣日たかみむすひの神の子、思金神おもひかねのに考えさせて、常世とこよ長鳴鳥ながなきどりを集めて鳴かせ、天の安の河の川上にある堅い岩を取り、天の金山かなやまの鉄を採って、鍛冶職人の天津麻羅あまつまらを捜して、伊斯許理度売命いしこりどめのに命じて鏡を作らせ、玉祖命たまのおやのに命じて八尺の勾玉をたくさん長い緒に通して作った玉飾りを作らせ、天児屋命あめのこやねの布刀玉命ふとだまのを呼んで、天の香山かぐやまの雄鹿の肩の骨を抜き取り、天の香山のうわみず桜の木を取ってその骨を灼いて占わせ、天の香山の枝葉の茂ったを根こそぎ掘り起こしてきて、上の枝には八尺の勾玉をたくさん長い緒に通して作った玉飾りを取り付け、中の枝には八尺鏡やたかがみを掛け、下の枝にはこうぞの白い幣帛と麻の青い幣帛を垂れかけ、これらさまざまな物は、布刀玉命が神聖な御幣として捧げ持ち、天児屋命は神聖な祝詞を唱えて寿ぎ、天手力男神あめのたぢからをのは戸の脇に隠れて立ち、天宇受売命あめのうずめのは天の香山の日蔭鬘ひかげかずらたすきにかけ、天の真拆葛まさきかずらを髪飾りとして、天の香山の笹の葉を束ねて手に持ち、天の石屋戸いわやとの前に桶を伏せてこれを踏み鳴らし、神がかりして乳房を掻き出し、裳の紐を女陰まで押し垂らした。すると、高天原が鳴動するばかりに、八百万の神々が一斉にどっと笑った。

出典 古事記・現代語訳と注釈〜日本神話、神社、古代史、古語